手塚治虫の名作『ジャングル大帝』リーディング音楽劇になって開幕

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』のルネ&ルッキオ編が本日、大阪で幕を開けた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』ルネ&ルッキオ編 舞台写真
撮影 福羅広幸

オフィシャル公演レポート

円形ステージをぐるりと囲むように配置されたオーケストラ。順番にステージに現れたキャストたちはストレッチしたり、笑顔で挨拶を交わしたり。和やかなムードのなか、気づけばオウムのココを演じる西川が、ステージ中央で「レオ編」で起こった物語を歌と語りで伝え始め、舞台の幕が上がった。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』ルネ&ルッキオ編 舞台写真
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白い百獣の王・レオと妃のライヤに生まれた双子の子ども、男の子のルネを演じる深田、女の子のルッキオを演じる黒田の最初の一声が、赤ちゃんライオンの鳴き声だったのが可愛らしい。無垢で好奇心旺盛なルネを演じる深田に対して、肩を小さくすぼめて話しかける黒田のルッキオが、小さな女の子に思えるから不思議だ。一人で二役以上演じるのが朗読劇。この舞台も例外ではなく、人間の世界へ飛び出したルネがサーカス団で出会う男の子・ピートを黒田が演じている。レオがケン一と友情を育んだように、ルネとピートもお互い励まし合い、友情が芽生えてくる様子も見るほどに気になってくる。一方の深田は、ケン一の幼なじみで地質学者のピエール役も。ここでは声色を変え、ムダにカッコいい(!?)ポーズで決めるキャラクターで笑いを誘った。

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他にも2組の友情が描かれている。月光石を巡って険悪な仲になっていたプラス教授(宮原)とマイナス博士(工藤)、お互いに子を持つ父となって再会したレオ(上口)とケン一(永田)。月光石を求めてムーン山への探検をする道中に描かれるどちらの友情も「美しい」という言葉だけでは収まらない、本当の意味での命懸けの友情をリーディングすることで、観る者の涙を誘った。友情だけでなく、水嶋演じるメリーの女性の強さ、ダンドイが演じるライヤの母性にも胸を打たれる。

劇中で表現された弾むようにうれしい気持ち、猛吹雪の脅威、生きていく勇気…など、さまざまな感情がオーケストラの生演奏と浦嶋、吉田のコーラスでさらに深みを増していたのも本作の素晴らしいところ。さらに2人のダンサー(ホナガ、池田)による見事な動きも相まって、まるで本を読んだときに誰もが感じる自分の頭の中だけに広がる絵を目の前で見ているよう。物語の世界が立体的に広がっていき、どんどん引き込まれた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』ルネ&ルッキオ編 舞台写真

手塚治虫が伝えたかった命の尊さが存分に描かれたこの作品。ボロ泣き必至だが、最後は清々しい気持ちで劇場を後にすることも間違いない。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』ルネ&ルッキオ編 舞台写真
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あらすじ
人の心を持ったジャングルの王・レオとその妃ライヤとの子として生まれた双子のルネとルッキオ。人間の文化に興味津々のルネはライヤとルッキオの反対を押し切り海へ出る。サーカス団の下っ端ピートと出会い意気投合するが、支配人ダンディ・アダムと契約を交わすことに……。一方、時を経てメリーと日本で暮らすケン一の元を、地質学研究者のピエールとマイナス博士が訪ねていた。二人は、各国が取り合う貴重な石、「月光石」を独占しようとする企みを阻止するため、ジャングルでの月光石探しに力を貸してほしいという。ケン一はレオたちを守るため二人とともに再びジャングルへ向かうことを決意する。ケン一たちがジャングルを訪れると、そこでは死斑病が蔓延しライヤとルッキオもまた病魔におかされていた。憔悴するレオだったが、ピエールの治療により動物たちが救われたことで、お礼をしたいと申し出る。そこで、三人は月光石探検への同行を提案し、レオとルッキオは彼らとともにムーン山の頂上を目指すことに。険しい雪山での数々の試練、そして出会いと別れを乗り越え、彼らは月光石を見つけ出し無事に帰ることができるのか。そしてサーカス団に捕らわれたルネの運命は……。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』ルネ&ルッキオ編

2025年1月10日(金)~13日(月・祝)
大阪/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

2025年1月18日(土)~31日(金)
東京/有楽町よみうりホール


原作:手塚治虫
脚本・作詞:福田響志
演出:ウォーリー木下
音楽:岩崎廉
出演:深田竜生 黒田光輝 永田崇人 西川大貴 工藤広夢 水嶋凜 ダンドイ舞莉花 上口耕平 宮原浩暢(LE VELVETS)
スペシャルコーラス/浦嶋りんこ
コーラス/吉田純也
ダンサー/ホナガヨウコ 池田遼

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