今年11月に東京文化会館にてスペイン国立バレエ団による来日公演の開催が決定した。

スペイン舞踊をして「情熱的」と表現するのは甚だ陳腐かも知れないが、それ以上見事に表現した言葉は、やっぱり見つからない。
重いドレスの裾を翻し、滴る汗の隙間から覗くあの熱い目が語るものは、やっぱり、情熱以外の何でもない。その熱に捕らわれたが最後、穏やかだった日常は、終わりを告げる。心は、抑えきれないざわめきに支配されてしまう。
スペイン国立バレエ団の来日が決まると、魂が疼き出す。
心待ちにしていたあの人にやっと会える、そんな動揺にも似た熱い期待に胸を膨らませる。
今回も、絶対に感動が待っている。出会うのが怖いぐらいの感動が、やって来る。
伝統を守りながらも、現代の洗練をさらりと着こなす作品たち。スペイン以外の何物でもない動きと音楽と感性が、華々しく繰り広げられる。
スペイン舞踊と一口に言っても、フラメンコをはじめエスクエラ・ボレーラ、クラシコ・エスパニョール(ダンサ・エスティリサド)、民族舞踊と四つのジャンルがあり、さらに現代ではコンテンポラリーを取り入れる場合もあり、中々に複雑だ。
しかしそれぞれの色を失うことなく全てを網羅し、一つの舞台に見事にまとめあげ、観客を満足させてくれる。
東 敬子(フラメンコ・ジャーナリスト)
『スペイン国立バレエ団 2024年日本公演』
2024年 11月20日(水)~24日(日) 東京文化会館 大ホール
芸術監督:ルペン・オルモ
富山:2024年11月17日(日) オーバードホール
名古屋:2024年11月27日(水) フォレストホール
兵庫:2024年11月29日(金) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール