監督・出演者・テーマなど様々な角度から作品にスポットを当て、古き良き昭和の日本映画をフィルムで上映している、本の街の名画座・神保町シアター。3月23日から、脚本家・山田太一と映画監督・木下惠介、そして、伝説のエンターテイナー・エノケン、2つの特集上映をおこなう。
山田太一はテレビドラマ草創期を支えた脚本家として知られているが、実は松竹大船撮影所に就職し、木下惠介の助監督としてそのキャリアをスタートさせている。その後、二人は同時期に松竹を去りテレビ界に進出。二人で組んだ「木下恵介アワー」シリーズをきっかけに、山田はテレビドラマの脚本家として大成していく。かかわった作品を手掛かりに、二人の師弟関係を紐解いていく意欲的な特集。

もう一つの特集上映は、戦前・戦中・戦後の日本を笑いで包んだ伝説のエンターテイナー、エノケンこと榎本健一に焦点を当てる。15歳から浅草の舞台に立ち、浅草オペラ仕込みの歌と芝居を武器に、舞台に映画にと活躍し、 古川ロッパ、柳家金語楼と並んで昭和の “三大喜劇人” と称された、まさに伝説のスター。今回の特集は、円谷英二も特撮に参加した人気作や、三大喜劇人が顔を揃えた爆笑篇などがかかる。

どちらの特集も、4月19日まで。是非大きなスクリーンで体感してほしい。
2024年3月23日(土) ~ 4月19日(金)
神保町シアター
【主な上映作品】
明日はいっぱいの果実
昭和35(1960)年 監督・脚本=斉藤正夫 脚本=山田太一
出演=鰐淵晴子、三上真一郎、杉浦直樹
キネマの天地
昭和61(1986)年 監督=山田洋次 脚本=山田太一ほか
出演=中井貴一、有森也実、渥美清
少年時代
平成2(1990)年 監督=篠田正浩 脚本=山田太一
出演=藤田哲也、岩下志麻、細川俊之
惜春鳥
昭和34(1959)年 監督=木下惠介
出演=津川雅彦、川津祐介、小坂一也
あこがれ
昭和41(1966)年 監督=恩地日出夫 原作=木下惠介 脚本=山田太一
出演=内藤洋子、新珠三千代、田村亮
藍より青く
昭和48(1973)年 監督=森崎東 原作=山田太一
出演=松坂慶子、大和田伸也、佐野浅夫
この子を残して
昭和58(1983)年 監督=木下惠介 脚本=木下惠介、山田太一
出演=加藤剛、十朱幸代、大竹しのぶ
異人たちとの夏
昭和63(1988)年 監督=大林宣彦 原作=山田太一
出演=風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子
ほか、全12作品